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おそらのうえで。

おそらのうえで。

*ラブレター*



「これ」

 そう言って君はうつむいたまま

 ボクに一通の手紙を手渡した。


 *ラブレター*


 「一人で・・・読んでよね」

 君は結局

 一度もボクの方をみないで

 足早に去っていく。


 ボクと君はクラスメート。

 気の合う仲のイイクラスメート。


 でも最近

 君の様子がおかしいんだ。

 
 みんなといても

 君はこれっぽっちも

 ボクに声をかけてくれない。
 
 それどころか見てもくれないんだ。


 部活が終わって下駄箱であっても

 前みたいに

 会話が弾まない。


 前はよく君から着てたメールも

 最近では滅多に来ない。

 来てもほんと

 用件だけのメールでさ。

 つまんないの。

 
 「先輩。これ食べて下さい」

 後輩の女のコが

 そういってお菓子差し出してきたら

 君はいつもからかってきたくせに

 最近じゃ無視じゃん。


 君との距離が

 日に日に遠ざかってた

 そんな矢先の君からの手紙。


 ボクは一人部室に駆け込み

 君の手紙を開いたんだ。



 【あたし、君がきらい】


 手紙は

 そんな一言から始まってた。


 【あたしには自分から話し掛けてくれない
  君はきらい。】


 そういえばみんなといても

 ボクから君へ

 話をふったことなかったっけ。

 よく考えてみれば

 いつも君からだったよね


 【部活で女のコの声援に答える君もきらい】


 “先輩がんばって”

 って言われたら無視も出来ないじゃん。

 “ありがと”

 そう答えるのが普通っしょ?


 【私から送らないと始まらない
  メールのやりとりなんかいらない。

 女のコからの差し入れを
 笑顔でうけとる君なんかみたくない。

 これだけ言ってもきっと
 あたしが君をスキだってことに
 今でも気付いてない鈍い君は嫌い。】


 君が

 ボクを

 スキ?


 【でもそれ以上に
  これだけやつあたりするあたしがきらい。
  わがままなあたしがきらい。

  でもあたし君がスキ。
  ごめんね。大好き】


 君からの手紙を読み終えて
  
 ボクは部室を飛び出した。


 昼休み。

 校舎中のどこをさがしても

 君の姿はどこにもない。


 どうしても君に

 今すぐ伝えたい言葉があるのに

 こんなときに限って

 いつも近くにいた君がいない。



 君はボクのこと

 鈍くてきらいだって言ってたけど

 それだったら

 ボクも同じ理由で君がきらいだ。


 
 「やっとみつけた」

 屋上へ続く

 誰もこない階段。


 やっとみつけた君は

 ボクから逃げようとしたけど

 そんな君を抱き寄せた。


 「なんで逃げんのさ」

 呼吸を整えて

 こっちを見ようとしない君に

 問い掛ける。


 「だって・・・あたしのこと
  きらいになったでしょ?」


 ちいさな声で

 震える声で

 絞り出すような声の君に


 「うんきらいになった」


 ちょっと意地悪。


 「じゃぁ離してよ」


 ボクの腕の中でもがく君を

 ぎゅっと強く抱き締めた。


 「一人で凹んで、俺のこと避けてさぁ。
  きらいだよ、そういうの」

 これでもボク

 君の行動に傷付いたんだって。

 「俺もずっとお前のことスキだってことに
 これっぽっちも気付かない
 そんな鈍いお前もきらい」

 にぶいのは

 二人ともだけどね。


 「でもそんなんひっくるめて
  俺すっげぇスキだよ。」


 君から手渡されたのは

 へんてこりんなラブレター。

 
 でもきっと

 【すき】って一言より

 もっとずっと

 いっぱいのキモチ

 伝わって来るラブレター。


 ねぇ

 大切にするよ。






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